さういふ女は十七八の小娘にしか見えなかつた。
断髪といふ頭の形がとかく左門の判断を迷はせるとはいふものの、そして身の丈は五尺二寸それより低くは思へぬ身体で充分発育してゐるが、まだどことなく肉づきの感じに子供つぽさが残つてゐて、着物のぐあひ、顔に漂ふ幼さなど、どう睨んでも漸く肩あげがとれたばかりといふ感じである。
旧劇の活動写真に荒くれ男を手下にひきいた姐御が現れ、三下奴が御注進々々々と縄張りのことかなんかで殴りこみの一隊が近づいたのを知らせてくるが、画面の中の姐御達は清水港の次郎長もかほどまでとは思へないほど落付いてゐる。