こんな生活が実際在るのかねと芥川がきくと、俺が殺したのだよと農民作家がぶつきらぼうに言ふのだ。
芥川が返事に窮してゐると、殺すことは悪いことだとあんたは思ふかねと客が訊く。
芥川はまとまつた思想を思ひつくこともできなくなつてしまふのだが、その客が立ち去つてしまふと彼は思はずただひとり捨て去られたやうな寂寥に襲はれて、ふと二階へ登り窓の外を眺めたさうだが、もとより客の姿を眺めるためでもなかつたのかも知れないが、客の姿は木立の向ふの道の上にはもう見えなかつたさうだ。
こんな生活が実際在るのかねと芥川がきくと、俺が殺したのだよと農民作家がぶつきらぼうに言ふのだ。
芥川が返事に窮してゐると、殺すことは悪いことだとあんたは思ふかねと客が訊く。
芥川はまとまつた思想を思ひつくこともできなくなつてしまふのだが、その客が立ち去つてしまふと彼は思はずただひとり捨て去られたやうな寂寥に襲はれて、ふと二階へ登り窓の外を眺めたさうだが、もとより客の姿を眺めるためでもなかつたのかも知れないが、客の姿は木立の向ふの道の上にはもう見えなかつたさうだ。