芥川はまとまつた思想を思ひつくこともできなくなつてしまふのだが、その客が立ち去つてしまふと彼は思はずただひとり捨て去られたやうな寂寥に襲はれて、ふと二階へ登り窓の外を眺めたさうだが、もとより客の姿を眺めるためでもなかつたのかも知れないが、客の姿は木立の向ふの道の上にはもう見えなかつたさうだ。
そんな話を書いた断片があるよ。
芥川の残した芸術はボードレエルの一行に如かないものかも知れないが、この断片は地上の文章の最大の傑作のひとつだと思つてゐるよ。
芥川はまとまつた思想を思ひつくこともできなくなつてしまふのだが、その客が立ち去つてしまふと彼は思はずただひとり捨て去られたやうな寂寥に襲はれて、ふと二階へ登り窓の外を眺めたさうだが、もとより客の姿を眺めるためでもなかつたのかも知れないが、客の姿は木立の向ふの道の上にはもう見えなかつたさうだ。
そんな話を書いた断片があるよ。
芥川の残した芸術はボードレエルの一行に如かないものかも知れないが、この断片は地上の文章の最大の傑作のひとつだと思つてゐるよ。