さういふ憶測が言ひ得るものと仮定すれば、由子がそのことを言ひだすまでてんで問題にしてゐなかつたといふことが、逆に由子の欠席を確信しきつてゐる心の深さを表してゐるのだと言へないこともないだらう。
然し同時に、自らはその確信に気付いてゐないのではないかと疑ることもできやうし、或ひは気付いてゐたにしても、その確信の深さ堅さの反面には、その確信にてんで自信がなかつたからだと言へないこともないだらう。
なぜならば、要するに由子がそのことを言ひだすまでは、その確信が彼の表面の問題になりえなかつたからである。