この店へ這入つたときから彼の狙ひをつけた女はその女ではなかつたからだ。
この女なら惚れてみてもいいくらゐだと思つたほどの若い女がゐたのである。
その女が彼の横を通過したり、彼の方へ偶然顔が向くたびに、木村重吉は笑つたり、目配せしたり、指をあげて合図をしたりするのだが、女はそれが見えない風をしてみたり、顔をそむけたりするのであつた。
この店へ這入つたときから彼の狙ひをつけた女はその女ではなかつたからだ。
この女なら惚れてみてもいいくらゐだと思つたほどの若い女がゐたのである。
その女が彼の横を通過したり、彼の方へ偶然顔が向くたびに、木村重吉は笑つたり、目配せしたり、指をあげて合図をしたりするのだが、女はそれが見えない風をしてみたり、顔をそむけたりするのであつた。