この坂道を登りつめた突き当りには更に小高い丘があつて、彼女が少女のころまでは、そこに二軒の古色蒼然とした洋館が殆んど常にその鎧戸を深く下して部屋の秘密を臭はせてゐたものである。
無住のやうに思はれたが石の門標を読んでみると異人が住んでゐるのであつた。
ひとつは木立の繁みの中に建物の大部の姿を没してゐたし、ひとつは木立を遠く離した広さの中にその全貌をまるまる浮かし至極悠長に空の大きさを吸ひとつてゐた。
この坂道を登りつめた突き当りには更に小高い丘があつて、彼女が少女のころまでは、そこに二軒の古色蒼然とした洋館が殆んど常にその鎧戸を深く下して部屋の秘密を臭はせてゐたものである。
無住のやうに思はれたが石の門標を読んでみると異人が住んでゐるのであつた。
ひとつは木立の繁みの中に建物の大部の姿を没してゐたし、ひとつは木立を遠く離した広さの中にその全貌をまるまる浮かし至極悠長に空の大きさを吸ひとつてゐた。