無住のやうに思はれたが石の門標を読んでみると異人が住んでゐるのであつた。
ひとつは木立の繁みの中に建物の大部の姿を没してゐたし、ひとつは木立を遠く離した広さの中にその全貌をまるまる浮かし至極悠長に空の大きさを吸ひとつてゐた。
ちやうど追憶自体のやうに悠長に――由子はさういふ思ひがした。
無住のやうに思はれたが石の門標を読んでみると異人が住んでゐるのであつた。
ひとつは木立の繁みの中に建物の大部の姿を没してゐたし、ひとつは木立を遠く離した広さの中にその全貌をまるまる浮かし至極悠長に空の大きさを吸ひとつてゐた。
ちやうど追憶自体のやうに悠長に――由子はさういふ思ひがした。