不良少女なんぞいふてあいを最も月並に考へて、老若二人のもぐりの騎士を常々ひやかすことにのみ専念してゐた小生も、俄に彼女等の非凡きはまる天才に驚き、「吹雪物語」もうつちやらかして、悦に入つて手紙の山を読みほぐし、遂に夜の白むのも忘れてしまふといふていたらくであつた。
「先生、てがかり、おまへんか」と翌朝親爺が現れた時、小生徹夜つづきの尚も法悦極まりない最中だから「まてまて、今に見つける」などと血走つた眼をして勿体ぶれば、親爺はへえーと敬々しく引退るといふ上乗の首尾である。
かくして、名探偵の活躍がはじまることになつた。