蛇池という伝説があり、三十町も葭の原ッパのつゞいた物怖しいところである。
正月中旬というからまだ寒い季節であるが、安食村の又左衛門という者が暮方アカマ池の堤を歩いていると、一抱えほどの黒い胴体が堤の上にあり、首は堤をこえて池の中へもぐっている。
人音に首をあげたのを見ると、鹿の顔みたいなものに目玉が星のように光り、紅の舌がこれも光りかゞやいて、ちょうど人間の掌をひらいた片腕みたいにチョロチョロ燃えでている。
蛇池という伝説があり、三十町も葭の原ッパのつゞいた物怖しいところである。
正月中旬というからまだ寒い季節であるが、安食村の又左衛門という者が暮方アカマ池の堤を歩いていると、一抱えほどの黒い胴体が堤の上にあり、首は堤をこえて池の中へもぐっている。
人音に首をあげたのを見ると、鹿の顔みたいなものに目玉が星のように光り、紅の舌がこれも光りかゞやいて、ちょうど人間の掌をひらいた片腕みたいにチョロチョロ燃えでている。