夏目漱石 『彼岸過迄』 隅に無花果が一本あって、腥ぐさい空気の中に、青い葉を少しばかり茂らしていた。 枝にはまだ熟しない実が云訳ほど結って、その一本の股の所に、空の虫籠がかかっていた。 その下には瘠せた鶏が二三羽むやみに爪を立てた地面の中を餓えた嘴でつついていた。 夏目漱石の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア