ただこう思った時急に変な心持に襲われた。
その心持は純然たる恐怖でも不安でも不快でもなく、それらよりは遥かに複雑なものに見えた。
が、纏って心に現われた状態から云えば、ちょうどおとなしい人が酒のために大胆になって、これなら何でもやれるという満足を感じつつ、同時に酔に打ち勝たれた自分は、品性の上において平生の自分より遥に堕落したのだと気がついて、そうして堕落は酒の影響だからどこへどう避けても人間としてとても逃れる事はできないのだと沈痛に諦らめをつけたと同じような変な心持であった。
ただこう思った時急に変な心持に襲われた。
その心持は純然たる恐怖でも不安でも不快でもなく、それらよりは遥かに複雑なものに見えた。
が、纏って心に現われた状態から云えば、ちょうどおとなしい人が酒のために大胆になって、これなら何でもやれるという満足を感じつつ、同時に酔に打ち勝たれた自分は、品性の上において平生の自分より遥に堕落したのだと気がついて、そうして堕落は酒の影響だからどこへどう避けても人間としてとても逃れる事はできないのだと沈痛に諦らめをつけたと同じような変な心持であった。