その代り千代子が常に畏れる点を、幸にして僕はただ一つ有っていた。
それは僕の無口である。
彼女のように万事明けっ放しに腹を見せなければ気のすまない者から云うと、いつでも、しんねりむっつりと構えている僕などの態度は、けっして気に入るはずがないのだが、そこにまた妙な見透かせない心の存在が仄めくので、彼女は昔から僕を全然知り抜く事のできない、したがって軽蔑しながらもどこかに恐ろしいところを有った男として、ある意味の尊敬を払っていたのである。
その代り千代子が常に畏れる点を、幸にして僕はただ一つ有っていた。
それは僕の無口である。
彼女のように万事明けっ放しに腹を見せなければ気のすまない者から云うと、いつでも、しんねりむっつりと構えている僕などの態度は、けっして気に入るはずがないのだが、そこにまた妙な見透かせない心の存在が仄めくので、彼女は昔から僕を全然知り抜く事のできない、したがって軽蔑しながらもどこかに恐ろしいところを有った男として、ある意味の尊敬を払っていたのである。