御母さんが御前の事を大層心配してわざわざ矢来まで来たから、今おれがいろいろに云ってようやく安心させたところだと告げた。
したがって旅行に出すのは、つまり僕の責任なんだから、なるべく年寄に心配をかけないように、着いたら着いた所から、立つなら立つ所から、また逗留するなら逗留する所から、必ず音信を怠たらないようにして、いつでも用ができしだいこっちから呼び返す事のできる注意をしたら好かろうと云った。
市蔵はそのくらいの面倒なら僕に注意されるまでもなくすでに心得ていると答えて、彼の母の顔を見ながら微笑した。