もうその時から疲れきつてゐたが、夜の九時ころ、塚由が長考してゐる時、彼は記録係へ「応接間へよびに来てね」と云ひ残し、薄暗い応接間の肱懸椅子にグッタリのびてゐた。
零時ごろには、すでに敗北は明らかで、一秒ごとに名人位を去りつゝある苦悶がにじみでゝゐた。
ともすれば、その苦悶に破綻しようとする苦痛を抑へて、彼は必死に気持を立て直さうとしてゐた。
もうその時から疲れきつてゐたが、夜の九時ころ、塚由が長考してゐる時、彼は記録係へ「応接間へよびに来てね」と云ひ残し、薄暗い応接間の肱懸椅子にグッタリのびてゐた。
零時ごろには、すでに敗北は明らかで、一秒ごとに名人位を去りつゝある苦悶がにじみでゝゐた。
ともすれば、その苦悶に破綻しようとする苦痛を抑へて、彼は必死に気持を立て直さうとしてゐた。