木村と、つづいて大山をめぐつて、升田は塚田強しと逆説したが、本心は木村と大山に敵意があつてのことであり、塚田に対してさのみ怖れてはゐなかつたであらう。
然し、大山が塚田に挑戦して敗れたことによつて、彼はその安堵の気持を再び塚田強し、大山いまだ至らずと置きかへ、めぐりめぐつて、塚田強しといふ縄で彼自身が縛られてゐたやうだ。
塚田は、二年前に名人位を奪つた朝、少しの酒に目のフチを赤くして、嬉しくも何でもないやうなドロンとした顔をしてゐたが、私が升田のことを云ふと、
木村と、つづいて大山をめぐつて、升田は塚田強しと逆説したが、本心は木村と大山に敵意があつてのことであり、塚田に対してさのみ怖れてはゐなかつたであらう。
然し、大山が塚田に挑戦して敗れたことによつて、彼はその安堵の気持を再び塚田強し、大山いまだ至らずと置きかへ、めぐりめぐつて、塚田強しといふ縄で彼自身が縛られてゐたやうだ。
塚田は、二年前に名人位を奪つた朝、少しの酒に目のフチを赤くして、嬉しくも何でもないやうなドロンとした顔をしてゐたが、私が升田のことを云ふと、