けれども、もしも第四局を失つたら、第五局は必ず負けると思つた。
なぜなら、木村が名人位を失ふ時に漠然と「時代」を感じて敗北の予感に怖れたよりも、もつとノッピキならぬ切実さで、塚田は追ひつめられるに違ひないから。
なぜなら、十年不敗の木村が塚田の実力を怖れたよりも、今日の塚田は十年不敗の木村の実力を知つてをり、その木村が闘志と気魄で第五局目の彼を威圧するに相違ないからである。
けれども、もしも第四局を失つたら、第五局は必ず負けると思つた。
なぜなら、木村が名人位を失ふ時に漠然と「時代」を感じて敗北の予感に怖れたよりも、もつとノッピキならぬ切実さで、塚田は追ひつめられるに違ひないから。
なぜなら、十年不敗の木村が塚田の実力を怖れたよりも、今日の塚田は十年不敗の木村の実力を知つてをり、その木村が闘志と気魄で第五局目の彼を威圧するに相違ないからである。