私は題名などのことで考える意志がないからであった。
つまり「にっぽん物語」というのは、この小説に主たる題名がないところから雑誌社が無断掲載に際して自ら作ったものであるが、それならばそれで押してくれゝば宜しいものを、気が咎めたのか、主たる題名を小さく、「スキヤキから一つの歴史がはじまる」という題を大きくつけた。
私が雑誌社へ渡した部分は、この小説の第一章の「その一」だけで、せめて雑誌社としては、第一章の題をもって主たる題名に代えたかったであろうが、これまた不都合なことに「一九二八―」という未定の題名が第一章につけられており、使いものにならなかったのである。