観衆が少いから、ひきあわないとは妙な話で、少いほど場内整理はカンタンの筈であり、入場料の歩合いをもらうワケではなく、整理料はちゃんと二十万、二十五万と定まって貰う筈なのである。
だから、観衆が少いから、というのは、ボスに対して一日に一レースは黙認されている八百長レースの配当が低い、ということを意味し、八百長の存在を裏書している言明だとしか思われない。
このボスは東海道名題のボスで、土地のボスではなく、このボスに渡りをつけるには、土地のボスの手を通す必要もあり、土地のボスもいくつかあるというわけで、それらにしかるべく顔を立てるとなると、一日に四ツも五ツも八百長レースが黙許されざるを得なくなるのである。