ほかに雨戸や錠前をこじあけるためのペンチその他七ツ道具一式持っていたが、七ツ道具を使って夜陰に忍びこむのは女をつれていない時で、機にのぞみ、変に応じて、手口を使い分けていたが、結局七ツ道具の有りふれた方法などを弄んだために失敗するに至ったのである。
思うに、この先生は、ほかの泥棒のように、セッパつまった稼ぎ方はしていなかったのである。
主として芸者をつれて豪遊し、そうすることによって容疑をまぬがれ、当分の遊興費には事欠かないが、ちょッとまア、食後の運動に、趣味を行う、という程度の余裕綽々たるものであった。