袋小路のドン底の羽目板が外れて傾いて、食堂の土間には溝のあふれた匂いがいつもプンプンしているようなところで、こんなところで跡目披露や手打式をやるようでは、よッぽど格の下の親分であったに相違ない。
落伍者や敗残者だけが下宿するにふさわしい家で、便衣隊の隠れ家には適しているが、まア、便衣隊の小隊長格の親分だったのだろう。
こうなってからは、碁席の方へも、乾分のインチキ薬売りや、そのサクラや、八卦見や療養師や、インチキ・アンマや、目附の悪いのがくるようになり、彼らが昼間くる時はカリコミがあった時で、一時しのぎに逃げこんでいるのだから、ソワソワと落付かず、碁はウワの空で、階下でゴトリと音がするたび、腰をうかして顔色を変える。