私はヒルネをするために、公娼の宿へ行くこともある。
なぜなら、昼の旅館を訪れて、二三時間ねむらせてくれと頼むと、自殺でもするんじゃないかというような変な目でみられたり、ねむるよりも、起きているにふさわしい寒々とした部屋へ通されて、まずお茶をのまされ、つまり、日本の旅館はただねむるというホテル的なものではなくて、食事をして一応女中と笑談でも云い合わなければ寝る順がつかないような感じのところだ。
公娼の宿はそうではなくて、食事も酒もぬきであり、ねむいから、ほッといて、二三時間ねかしてくれと、いきなりゴロンとねてしまってもそれが自然に通用するところなのである。