しかし、自分の限度へくると、バーが二センチだけあがったのに一尺もあがったように見える恐怖感というものを身にしみている私には、(もっとも、そこに賭に挑戦するスリルも愉快もあるのだが)田中選手のケタ外れの比率を見ると、ほれぼれと血肉躍動する感動を与えられたものである。
彼の跳びッぷりを見たいばかりに、私はあのころの競技会へしばしば見物にでかけた。
走高跳などゝいう単純な競技は、ただバーをとびこすだけのことだから、跳び方なども単純で、特に規則など有るはずがないと思うのが人情だが、実は、特別の定めがある。