作者は自分が熟知する地形だから一人ノミコミになり易いが、充分にヒントを与えておいた上で、なお悠々と謎ときゲームを争うに堪えうるだけの充分の配慮と構成とトリックの妙がなければならない。
「Yの悲劇」にしても、ふれた手の高さと、ヴァニラの匂いを総計すると、まア、犯人の少年を描きうることになるが、それだけがヒントとしては、かなり漠然としすぎており、もうちょッと明確なヒントを与えておいて、読者を説服するだけの準備と構成がほしかった。
少年が犯人である動機、他人のメモを見て実行するという大事なところをヒントに提出しておいて謎ときを争うだけの構成の妙味がなければならない。