その時分の私は卒業する間際まで何をして衣食の道を講じていいか知らなかったほどの迂濶者でしたが、さていよいよ世間へ出てみると、懐手をして待っていたって、下宿料が入って来る訳でもないので、教育者になれるかなれないかの問題はとにかく、どこかへ潜り込む必要があったので、ついこの知人のいう通りこの学校へ向けて運動を開始した次第であります。
その時分私の敵が一人ありました。
しかし私の知人は私に向ってしきりに大丈夫らしい事をいうので、私の方でも、もう任命されたような気分になって、先生はどんな着物を着なければならないのかなどと訊いてみたものです。