三島由紀夫をなぜ芥川賞にしないのか、と云って、私のところへ抗議をよこした人がある。
事情を知らない人々には、まことに尤もな抗議であるから、この機会に釈明に及んでおくが、三島君は芥川賞復活当時、すでに多くの職業雑誌に作品をのせ、立派に一人前に通用していたから、すでに既成作家と認め、芥川賞をやるに及ばぬ、という意見に全員一致していたからである。
私が意外の感にうたれたのは、戦後派賞という戦後派の人を選者にした賞で、島尾君が賞をうけたのは、それはそれでよろしいのだが、次席として、三島君の名を明記するに至っては、私は呆れはてた。