日本の諸都市はバクゲキで焼野原となり、大陸でも、敵軍の攻勢がはじまったという時に、悠長に黄河の流域を奥地まで撮影して歩けるものではない。
しかし、あのころはヤブレカブレで万事につけて表裏一体をなしたものはないのだから、ハ、こんな映画を企画しております、と威勢よく言った方が上司の受けもよくて、ハ、あの辺はもう撮影ができませんから企画をひッこめました、などというと社長はこの敗戦主義者めと軍人にブンなぐられたのかも知れない。
表面と裏面と、理想と現実と、全然仕事のツジツマが合いやしないが、命じる方も平気な顔、こっちも平気な顔、一切合財、日本中のあらゆる物がツジツマが合ってやしなかったのだ。