飛鳥川は玉川上水と同じぐらいの小川にすぎない。
大黄河にもみまくられて育ったシナの歴史や文化にくらべれば、飛鳥川に有為転変の感懐を託していた日本文化の源流というものは、温室育ちも極端であり、あまりにも小さすぎて、いじらしく、悲しく、おかしく、異様ですらある。
金閣寺に放火した犯人が「美に対する嫉妬」と言ったり、「見物にくる人間への反感」と言ったという新聞記事の報道は、犯人がそのとき、そう言ったという事実を伝えているかも知れないが、犯人の本当の心がそれにつくされていると考えるのは速断にすぎるであろう。