それを敢てする人は、むしろ天性の俗物であろうが、しかし空想で終らずに本当に着手するには、夢想家にしても、山師にしても、並のものではない。
彼は戦争中は猛烈な神がかりで、私は郷里の新聞に彼が神がかりの論文をのせているのを読んだが、先ずこれぐらいベラボーな論理を失した神がかりは天下になかったようである。
軍人にせよ、政治家にせよ、壮士にせよ、農夫にせよ、神がかり的になり易い人士は、反面チミツな計算家で、はじめは相手にききとれないような細い声で語りだす、というような術については一生心を用いている人種らしい、と、私はそんなことを考えたりした。