おまけに、都会の風が身にしみてゾッコン好きであるから、御一新になると同僚はみんな官途について、肩で風をきる中で、この男は志を立て、さる戯作者の門に弟子入りして、大いに道を習い覚えて、小説をものしたところ、外道の世の中、見当外れの通ぶりが意外の功を奏して、バカにされされ、もてはやされてしまったのである。
田舎通人、神仏混合、花廼屋因果といえば、人力車夫や女中などには粋人中の粋人とありがたがられて、身にあまる人気を博するに至った。
この男がまた虎之介に輪をかけて凝り屋のところへ、特に探偵のことには凝りに凝っている。