夕月の女将には腹蔵なく話しておいてくれましたので、さいわい知ることができましたが、その日の午ごろ見知らぬ男が、中園の使者と称して現れまして、ただ今シナから戻ってきましたが、まだ仕事が完成しておりませんので姿を現す時期ではないが、御前に御報告だけしておきたい、夕方、夕月へ参りますから、とこういう話であったそうです。
加納さんは半信半疑で、中園はたしかに用務を帯びてシナへ行く途中ではあったが、玄海灘で船が沈んで、助かったとは思われないが、フシギなことだと話しておられたそうであります」
新十郎はうなずいて、