それがはからずも今回の事件が起るに至って、はじめていくらか明瞭なリンカクを知り得たと申しましょうか。
なぜかと申しますと、教団の奥のことは、信徒といえども臆測するのみで、その正体は鉄扉の彼方に距てられておりましたからです。
はからずも十一月十一日は赤裂地尊の祭日で、この地神は荒ぶる神、一名赤裂血とも書き、血を最も愛する魔神とされているのですが、この魔神の怒りをやわらげて平和の守護神たらしめるためにイケニエを捧げる行事を「ヤミヨセ」と称し、信徒にとってはヤミヨセの言葉をきくだにふるえあがるほどの怖しい行事とされております。