牧田は辛うじて二段上ったばかりで、とてもその上へは進めなかった。
山賀侯爵が全財産をあげて教会へ奉公して見る影もない生活に甘んじていることはすでに述べた通りだが、殺された神山幸三、佐分利母子、いずれも全財産をあげて寄進した人たちで、幸三は親が死んで継いだばかりの財産を一年足らずで、そっくり潰して、教会の教師の末席につらなり、佐分利も同じく亡夫の財産をつぶして母は教師の末席に、娘はミコになって奉仕していたのである。
この人たちになると、教会の奥の院で特殊な宗教生活にひたることになるから、一般信徒にはその内情がうかがわれないが、いろいろと取沙汰は流布している。