快天王の音声が、時に百歳の老翁の如く、時に荒れ叫ぶ野獣の如く、又、美女の威ある如くむせび泣く如く、幼女の母を恋うるが如く、常に変幻ただならぬことは先に述べたが、主として美女の音声であることが多い。
甚しく威ある時と、哀切をきわめる時と、美女の場合にも二ツあるが、特に威ある美女の声が甚しく印象的であるために、いつごろからか、隠し神の快天王も別天王と同じように女性の神であろうということが信じられるようになっていた。
たまたま佐分利母子の出現によって、あれこそは隠し神の化身ではないか、という噂が起ったのである。