すでにしぼる血をしぼりつくした海舟、しかし寸分の油断もなく耳をすまして聞き終ったが、静かに熟考しばし、フッと我に返って、虎之介の顔をなでるように打ち眺め、
「実に意外な事件だなア。
世良田摩喜太郎は小藩の出ながら稀代の逸材、よく薩長とレンラクして倒幕にはたらいた奇才であったが、そのころ二十一二の小僧だったそうな。
すでにしぼる血をしぼりつくした海舟、しかし寸分の油断もなく耳をすまして聞き終ったが、静かに熟考しばし、フッと我に返って、虎之介の顔をなでるように打ち眺め、
「実に意外な事件だなア。
世良田摩喜太郎は小藩の出ながら稀代の逸材、よく薩長とレンラクして倒幕にはたらいた奇才であったが、そのころ二十一二の小僧だったそうな。