中橋にヒサができてからは、寵もうすらぎ、ただ仕送りをうけるだけで、めったに中橋の訪れを見なくなったというが、敏司と深く言い交した夢之助にはそれが苦にはならなくとも、恋人、旦那二ツながらヒサに奪われた怒り恨みは一方ならぬものがあったに相違ない。
ヒサが妾宅をでかけたのは、十一月三十日の午前十時半ごろ。
三筋町の踊りの師匠のところへお稽古がてら月謝をおいてきて、ちょッと買物に廻ってくると云って、女中をつれて出かけた。
中橋にヒサができてからは、寵もうすらぎ、ただ仕送りをうけるだけで、めったに中橋の訪れを見なくなったというが、敏司と深く言い交した夢之助にはそれが苦にはならなくとも、恋人、旦那二ツながらヒサに奪われた怒り恨みは一方ならぬものがあったに相違ない。
ヒサが妾宅をでかけたのは、十一月三十日の午前十時半ごろ。
三筋町の踊りの師匠のところへお稽古がてら月謝をおいてきて、ちょッと買物に廻ってくると云って、女中をつれて出かけた。