浅虫家では誰も彼の住所を知る者がなかった。
未亡人にきいてみると、彼は住所を誰にも言わなかったし、きき忘れてもいたというのである。
野草の懐中からは手の切れるような十円札の百枚束、千円という大金のフクサ包みが出てきたが、立派な和紙で包まれていて、小銭入れと別になっているのを見ると、人にやる金か、人から貰った金か、特別な金であるらしく思われる。
浅虫家では誰も彼の住所を知る者がなかった。
未亡人にきいてみると、彼は住所を誰にも言わなかったし、きき忘れてもいたというのである。
野草の懐中からは手の切れるような十円札の百枚束、千円という大金のフクサ包みが出てきたが、立派な和紙で包まれていて、小銭入れと別になっているのを見ると、人にやる金か、人から貰った金か、特別な金であるらしく思われる。