地伯が姉の婚家へころがりこんできたのにはワケがあった。
父の兆久が死んだのは今から十五年前のことである。
安倍家は秩父の豪家であったが、兆久に事業癖があって、鉱山に手をだしたり、陶工をよびカマをつくって大々的に陶器をやかせて失敗したり、山気を起して江戸を往復するたびに先祖伝来の莫大な財宝をすりへらして死んでしまった。
地伯が姉の婚家へころがりこんできたのにはワケがあった。
父の兆久が死んだのは今から十五年前のことである。
安倍家は秩父の豪家であったが、兆久に事業癖があって、鉱山に手をだしたり、陶工をよびカマをつくって大々的に陶器をやかせて失敗したり、山気を起して江戸を往復するたびに先祖伝来の莫大な財宝をすりへらして死んでしまった。