先生はこの日あたりの好い室の中へ大きな火鉢を置いて、五徳の上に懸けた金盥から立ち上る湯気で、呼吸の苦しくなるのを防いでいた。
「大病は好いが、ちょっとした風邪などはかえって厭なものですね」といった先生は、苦笑しながら私の顔を見た。
先生は病気という病気をした事のない人であった。
先生はこの日あたりの好い室の中へ大きな火鉢を置いて、五徳の上に懸けた金盥から立ち上る湯気で、呼吸の苦しくなるのを防いでいた。
「大病は好いが、ちょっとした風邪などはかえって厭なものですね」といった先生は、苦笑しながら私の顔を見た。
先生は病気という病気をした事のない人であった。