田舎では多久の一族だが、東京では多久家などとはその苗字を知る人もない。
おまけに本家とちがって、分家の財産は知れたもの、けっして一生遊んで暮せる身分ではないのであるが、オヤジの水彦がまた世間知らずのバカ者であった。
彼は東京へ出ても、多久といえば天下の名門だと思っている。
田舎では多久の一族だが、東京では多久家などとはその苗字を知る人もない。
おまけに本家とちがって、分家の財産は知れたもの、けっして一生遊んで暮せる身分ではないのであるが、オヤジの水彦がまた世間知らずのバカ者であった。
彼は東京へ出ても、多久といえば天下の名門だと思っている。