常友が三十であった。
「八九年前のことですが、菓子屋の玉屋が没落しまして正司様が路頭に迷ったことがありましたが、そのとき玉屋の主人が正司様をお連れして旦那様にお詫びを申上げ、せっかく御子息様をお預りしながら店じまいするような面目ないことを致しまして相済みません。
しかし御子息様も今では一人前の立派な職人、どこへ出しても恥しくない腕ですから、本来ならば手前がノレンをわけて差上げなければならないのですが、それが出来ない事情になりましたので、手前に代って店を持たせてあげていただきたい。
常友が三十であった。
「八九年前のことですが、菓子屋の玉屋が没落しまして正司様が路頭に迷ったことがありましたが、そのとき玉屋の主人が正司様をお連れして旦那様にお詫びを申上げ、せっかく御子息様をお預りしながら店じまいするような面目ないことを致しまして相済みません。
しかし御子息様も今では一人前の立派な職人、どこへ出しても恥しくない腕ですから、本来ならば手前がノレンをわけて差上げなければならないのですが、それが出来ない事情になりましたので、手前に代って店を持たせてあげていただきたい。