志道軒は待望の大金をわが手におさめた喜びも大方消しとんだようだった。
彼は恐しいものを見たのである。
恐らく鈍感な常友は気がつかなかったであろうが、人の顔色をよむのが商売のコツでもある志道軒には、こんな恐しいことはむしろ気がつかずにいたいもの、いろいろと人の顔色を見ていたが、こんなムザンな顔を見たのは生れてはじめてのことだ。
志道軒は待望の大金をわが手におさめた喜びも大方消しとんだようだった。
彼は恐しいものを見たのである。
恐らく鈍感な常友は気がつかなかったであろうが、人の顔色をよむのが商売のコツでもある志道軒には、こんな恐しいことはむしろ気がつかずにいたいもの、いろいろと人の顔色を見ていたが、こんなムザンな顔を見たのは生れてはじめてのことだ。