よってその晩からすでに左近と寝室を同じくするに相違ないから、酒宴が長時間つづいているうちに、久吉に命じてカンヌキを外すように言い含める時間や機会はいくらもあった筈でしょう。
左近が抜身の雨を降らせたのは願ってもないことで、志道軒は己れの目的がハッキリしていて板戸のカンヌキが外れているのも知っているから、他の人々のように狼狽することもなく、まッすぐに左近の居室へのりこんで、彼を刺し殺してしまったのでしょう。
なお、ミネが自害したのは、二人の実子のいずれかが犯人であろうと疑ってその罪をきるつもりであったのでしょう。