主人の大学は今で云うと農林省の相当のオエラ方の役人で、年は四十七。
先月の終りから北海道へ官命で視察にでて、二十日すぎでないと戻らない。
ところが留守の家族は、今度のお盆によんどころない墓参の都合があって、主人が出張で行かれないから、妻ヤスノ(三四)が多津子(十五)秀夫(十二)大三(七ツ)の三子をつれ、家令今村左伝(六二)同人妻カメ女(五五)と、ハツエ(二二)佐和子(十七)という二名の女中をも供にしたがえて故郷九州に旅立ち、これも明十九日か、二十日ごろまで戻らない。
主人の大学は今で云うと農林省の相当のオエラ方の役人で、年は四十七。
先月の終りから北海道へ官命で視察にでて、二十日すぎでないと戻らない。
ところが留守の家族は、今度のお盆によんどころない墓参の都合があって、主人が出張で行かれないから、妻ヤスノ(三四)が多津子(十五)秀夫(十二)大三(七ツ)の三子をつれ、家令今村左伝(六二)同人妻カメ女(五五)と、ハツエ(二二)佐和子(十七)という二名の女中をも供にしたがえて故郷九州に旅立ち、これも明十九日か、二十日ごろまで戻らない。