三枝子が以上のことを果したことがなぜ判るかというと、三枝子が各部屋の雨戸をしめるために立上ったとき、当吉がフトンの中から声だけだして、門をしめることをたのみ、ラクは由也の寝床のことをたのんだ。
これは両者の果すべき役割で、この家のサムライ気質のせいか、由也の寝床の始末だけは若い女中がやらずにラクがやる。
さて三枝子が頼まれたことを果して戻ってくると、当吉はフトンのフタをあけずに、クグリ戸のカンヌキはかけずにおいたかと確かめたし、ラクは机上の燭台のことと枕元の水のことを確かめ、由也はまだ戻らないことも確かめた。