とにかくその時は大雷雨の真ッ最中であったが、この晩のカミナリは母里大学邸を中心にそのまわりを二回三回四回とゆっくり散歩しているのか、前後左右の天地を割り裂きつつ、遠ざかると思えば近づき、右にまわれば、左に引き返し、実に十一時をすぎるまで大雷雨がつづき、ようやくハッキリと遠ざかったのは十一時半。
十二時をすぎても、まだ思いだしたように、雷鳴が起っていた。
三枝子はなかなか女中部屋へ戻らないようであったが、由也の帰宅がいつもより早く九時半か十時ごろであったし、おそく帰宅して食事するのはこの連夜その例があるから、前もって夜食の用意はととのえておいたし、三枝子は台所で、用意のものを取り揃えて持参し、それらの用で当然時間がかかっているのだろうと、誰も怪しまず、そのうちに三人ながら眠ってしまったのである。