寝床は一ツしか敷かれていないが、押入れの中には一そう泥だらけのフトンがあって、その中には念入りにメガネまであって誰かの寝たあとを示しているし、吐いた汚物の下には他人の所有を示す署名の本がある。
一応足跡をふいたり、寝床の一ツを押入れへ片づけたりしていますけれども、実際は誰かが前夜一時的に宿泊したことが明白で、それが一応かくされたように見せかけてあるのは、実は一そう誰かの宿泊ということに疑惑が深く差し向けられるように仕向けられたものだと解してよろしいでしょう。
ここに事件全体の暗示があったのです。