その大雷鳴を待ちつつも、もしも時田さんの酔いがさめかけたなら更に酒をのませて正気を失わせる必要もありました。
自分のためではなくて、他の一人を酔わせでおくための酒でした。
かくて大雷鳴の時に至って、カミナリ組の三名と、他の一名は酒によって、いずれも有って無き存在となり、残る二名のうち、彼以外の三枝子さんは彼に殺されるから、これは完全に無き存在となるわけで、ある時間中は自分以外の「有る」存在は母里家に一人もいなかったという、ハゲ蛸で時田栃尾両名の口論から思いついた犯罪ながらも、計画は行き届いておりましたし、偶然も彼に味方するところが多かったようです。