由也は茫然として長い失心状態の後に、とにかく時田さんをゆり起したと云いますが、そう云われると、たしかになんとなく思い当るし、自分の腕には三枝子さんにひッかかれたらしいカスリ傷もあるし、彼の言を信ぜざるを得なかったそうです。
すると由也は、君が殺したとなると自分も父に叱られて困ったことになるから、父の秘蔵の品物をわって三枝子が失踪したようにしよう。
こういうわけで、青磁と柿右衛門の皿をわって、三枝子の屍体はいったん縁の下へ穴をほって埋めた後に、この件では皿屋敷が誰の頭にもピンとくるだろうから、なるべく人にピンとくるように裏の井戸へ石を投げこもう。