その時までの兄の姿勢は、意外きわまる物を見出した人が内心の混乱と争いつつ必死にそれを見まもる時の姿勢のように、あるいは恐怖のあまりそれに飛びかかる寸前の姿勢のように、両手を胸の両脇にシッカとちぢめて小腰をかがめて、そして、ふるえはじめているのであった。
と、その一瞬に、胸の両脇にちぢまっていた両手が、そして、ちぢまったままふるえる以外にはどうしようもないように見えていたその両手が、にわかにパッとひらいて各々天の方向に延びきったように思われた。
それはその両手の手首につけておいた操り人形のヒモを、その一瞬に誰かがヤケに引っぱりあげた結果に起った突然の動作のように見えた。