彼は大伴家の莫大な財産について世俗的な関心がなかったから、義兄の風変りな結婚も、その妹と結婚した自分のことすらも、大伴家の財産をめぐる誰かの意図によるものだということを久しく気附かなかったほどである。
しかし、それに気がついた今日に至って、義兄が廃人として精神病院の一室へ運び去られたこの悲劇の終幕を知ると、この劇の性格や秘められた意図を劇のソモソモの始めから見直して、考え直す必要があるということに彼ほど鋭く心のうごいた者はなかったかも知れない。
彼は己が妻の観察を信じていた。
彼は大伴家の莫大な財産について世俗的な関心がなかったから、義兄の風変りな結婚も、その妹と結婚した自分のことすらも、大伴家の財産をめぐる誰かの意図によるものだということを久しく気附かなかったほどである。
しかし、それに気がついた今日に至って、義兄が廃人として精神病院の一室へ運び去られたこの悲劇の終幕を知ると、この劇の性格や秘められた意図を劇のソモソモの始めから見直して、考え直す必要があるということに彼ほど鋭く心のうごいた者はなかったかも知れない。
彼は己が妻の観察を信じていた。